熊本から千葉へやってきたのは、研究用のカメの標本を譲り受けるためでした。私は職業研究者ではありませんが、それでも研究を評価して協力してくださる機関があるのはありがたいことです。
標本を受領した後は、印旛沼でカミツキガメを探すことにしました。ご存知の通り、カミツキガメは最大で甲長40cmを超える大きなカメで、強力なアゴを持つために市井では恐れられています。しかしながら、このカメは人を襲うような生き物ではありませんし、手出しすると危険というのは全ての野生動物に共通することです。カミツキガメを凶悪な危険生物として揶揄する風潮は居心地が悪いですね。ついでにもう一つ。自身と意見の合わない政治家をカミツキガメと表現する方がいらっしゃいますが、是非やめていただきたい。それ、下品ですよ。
亀が好きなあまり、話が外れてしまいました。日本に帰化したカミツキガメはホクベイカミツキガメと呼ばれる亜種で、その名の通り北米が原産地です。国内では数カ所で定着が確認されており、印旛沼はその一つです。当地では行政が主体となって駆除を進めており、一定の成果を上げています。
そう遠くない将来、国内でカミツキガメを見ることは難しくなると考え、この機会に野生のカミツキガメを観察しにいくことにしました。(冒頭で色々言いましたが、カミツキガメは野生動物ですから手を出すと危険です。発見した場合は、行政に連絡して任せましょう。また、当該生物は特定外来生物に指定されており、飼育や遺棄はもちろん、生きたままでの運搬も禁じられています。念の為書き記しておきます。)
最初に申し上げておきますが、カミツキガメは見つけられませんでした。
印旛沼北側の駅へ降り立ち、カメ探しの旅へ出発です。荷物は重たいスーツケースだけ。採集用具は何もありません。(痛恨のミス)
広大な水田地帯
灼熱のアスファルト上を歩きながら、道路脇の水路を覗いていきます。九州には分布しないカエルを見つけて大喜びしました。
トウキョウダルマガエル
カエルの喜びも束の間、立っていられないほどの突風に見舞われました。後になって知ったのですが、この日埼玉では竜巻が発生したようです。
暗い空
嵐の間は高架橋の下に身を顰め、カメ探しへ再出発しました。しばらく歩くとクサガメを発見。
クサガメ
拾い上げてみると、その甲羅の持ち主はとうの昔に死んでいました。
既にホネ
しばらくして、またクサガメを見つけました。
またクサガメ
またまた
またまたまた
これほどクサガメが優占して、ミシシッピアカミミガメがいないのも珍しいと思っていたら、ちゃんといました。(いてしまいました)
去年産まれ
一昨年か去年産まれ
あくまで感想ですが、クサガメは止水、ミドリガメは流水に多いようです。また、道中クサガメの遺骸を散見しました。外敵に襲われたのか、他に理由があるのかは分かりません。
茂みで
側溝横で
側溝内で
この個体は元気
その後も炎天下をひたすら歩き続け、日が落ちた頃に駅へ辿り着きました。大変つかれました。以下が今回の踏査の結果です。
クサガメ雄:1
クサガメ雌:25
クサガメ性別不明:7
ミシシッピアカミミガメ雌:3
ミシシッピアカミミガメ性別不明:6
スッポン性別不明:1
結局カミツキガメは見つけられませんでした。喜ぶべきことですが、正直に申しますと残念です。カメ研究者として一度は野生のカミツキガメを拝みたかった。今日は、カメ探しに敗退した話でした。
おまけ
ザリガニたち
この側溝だけ、異様にザリガニが浅瀬に密集していました。水質の問題か、貧酸素か、そもそもそういうものなのか分かりませんが、仮に寄生虫によって天敵に捕食されやすい行動を強制されているとしたら興味深いと思います。
タヌキ
タヌキが白骨化していました。少なくとも数ヶ月は放置されていたようで、脱脂まで完了しています。流れた月日の割に状態が良く、頭骨は歯を含めて完全なものが取れそうです。食肉目の遺骸は、食肉目から忌避される結果、比較的原状を保ったまま白骨化するという指摘がありますが、それを支持するような状態でした。
以上、おまけでした。