北海道の旅

北海道に来た。

今回は新婚旅行であるから、私の趣味は控えて観光に徹することとする。

初日は旭川空港へ着陸した後、神居古潭渓谷へ向かう。神居古潭構造帯は高圧変成岩の聖地である。

褶曲に時めきながら、蛇紋岩のメランジに思いを馳せた。

f:id:turtlep:20260531234602j:image↑神居古潭の露頭

f:id:turtlep:20260531235005j:image↑緑色岩(近くの河原に落ちている)

f:id:turtlep:20260531235134j:image↑高圧変成岩の見本市

ヒグマのホネでも落ちていないかと期待したが、そちらの収穫は無かった。日が暮れるまで変成岩を眺め、新婚旅行1日目は終了。

 

 

2日目は旭山動物園。

九州住まいだとヒグマやエゾシカを見る機会がほとんどないので非常に楽しみにしていた。両種への憧れから、標本もたくさん集めてきた。

 

入園すると、ホッキョクグマ舎に全身交連が展示してあった。なかなかの老成個体で見入ってしまった。叶うならば年齢や性別も知りたかった。

f:id:turtlep:20260703175609j:image↑ホッキョクグマ

 

f:id:turtlep:20260703175930j:image↑シンリンオオカミ

動物園は「標本の展示施設を有する園」、「動物の展示施設内で標本を展示する園」、「標本を展示しない園」の3種に大別される。どうも旭山動物園は、動物の展示施設内で骨格標本を展示するスタイルらしい。

と思っていたら、動物資料展示館があり、他では見ない標本を展示していた。

シロテナガザルの骨格標本に感動したが、ガラスケースに私が写り込んでしまったので画像を載せられない。残念。

 

そして念願のエゾシカ。

f:id:turtlep:20260703180807j:image↑袋角のオス

とにかく大きかった。近所にいるキュウシュウジカは本当に小さく、大人しくしてくれたなら、おそらく背負える。エゾシカは無理。

 

放飼場には過去の落ち角がそのままにしてあり、園の思惑を感じた。拾いたかった。

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トド(雄)の骨格標本作成④最終報

我が家にトドがやってきたのは7月16日のことでした。それからおよそ3ヶ月が経ち、ついにトド頭骨の標本が完成しました。

 

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とにかく大きい。最大頭骨長は39cmほどあります。脂分の残留も無さそうで、一安心です。また、被弾していた影響で制作途中でバラバラになってしまいましたが、ある程度組み立てられて良かった。

 

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奥歯が離れたところに生えているのが特徴です。

 

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雄の海獣は頭部の筋肉が著しく発達しますが、その中でもトドは一際ゴツいです。筋肉付着部が隆起しています。

 

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最大頭骨長37cmのグリズリーと並べてみました。大きなはずのグリズリーが小さく見えます。浮力は偉大ですね。

 

今回の作成方法は、

①除肉

②50℃の恒温槽で水を替えながら1ヶ月放置

③28℃の曝気槽で2ヶ月放置(withエビ)

④乾燥

⑤アセトンで脱脂テスト

⑥組み立て

⑦パラロイド塗布

でした。

このサイズの頭骨を収められる気密容器がなかったので、今回はアセトンを用いずに脱脂してみました。恒温槽では骨が脆くならないか心配で毎日確認しましたが、強烈な海のにおい以外の問題はありませんでした。アセトンでの脱脂テストでは脂の残留は認められませんでしたが、今後、脂が少し滲む気がしています。完全に脱脂したいならば、もっと曝気期間を設けるか、アセトン、或いは野晒しが良いですね。

神奈川の博物館

神奈川県立生命の星・地球博物館へ行ってきました。かの有名なアラスカヒグマの博物館です。

 

f:id:turtlep:20241003193059j:image入ってすぐのところに立っています。捕獲当時は史上4番目の巨体であったそうです。この個体のものではありませんが、一時期は頭骨も展示したらしい。見たかった。


f:id:turtlep:20241003193051j:image雌雄のトド。剥製になると、生きているときよりも小さく見えます。

f:id:turtlep:20241003193801j:imageたくさんの頭骨。食肉目の展示が充実していて素晴らしかったです。ハイエナの展示はレアかも。


f:id:turtlep:20241003193106j:imageオサガメの甲羅。実はこの標本はとんでもない手間をかけて作られています。脱帽です。

 

続いて、日本大学の骨の博物館へやってきました。

f:id:turtlep:20241003194536j:imageはじめまして。


f:id:turtlep:20241003194532j:image中へ入ると標本がずらりと並んでいます。骨密度が高いです。


f:id:turtlep:20241003194540j:imageゾウアザラシの標本。科博の大哺乳類展の標本より少し小さいように見えました。それにしても異形の頭骨です。


f:id:turtlep:20241003194529j:imageイノシシとラベルが貼ってありますが、家畜ブタに見えます。悩みましたが、結局何も言わずに帰ってきました。

 

f:id:turtlep:20241003194922j:image骨の質感を感じて欲しいという理念から、ガラスケースや柵は設けられていません。骨好きにとっては、標本を上からも下からも見られて大変ありがたいです。

 

神奈川を代表する2つの自然史博物館。地理的な問題で再訪は難しいですが、叶うならばまた来たいですね。

北海道から東北へ

北海道を昼過ぎに出て、夜に山形に到着しました。

f:id:turtlep:20241003201932j:image山形へ降り立つと、歓迎されていました。こんなことをしてもらったのは初めてです。

 

f:id:turtlep:20241003202105j:imageちょっとだけ学会を抜け出して、山形城跡。在りし日の資料が無いために、再建できていないと書いてありました。


f:id:turtlep:20241003202100j:image山形県立博物館にも行きました。ホネらしいホネは、このクロミンククジラだけ。それでも、南半球にしかいないクロミンククジラを見られて満足です。

 

山形の用事が終わってから、次は仙台にいる旧友を尋ねました。仙台の都会っぷりに驚きました。

f:id:turtlep:20241003203041j:imageはじめましての八木山動物公園。大きな牙を持ったアフリカゾウがいました。
f:id:turtlep:20241003203151j:imageイノシシ。郷土の生き物を展示する風潮を好ましく思います。


f:id:turtlep:20241003203107j:imageオオヤマガメ。2番目に好きなカメです。大きいというのはそれだけで素晴らしいことです。


f:id:turtlep:20241003202930j:imageトウブハコガメ。これから発色します。


f:id:turtlep:20241003203158j:image続いては仙台海の杜博物館へ。厳つい顔のオオカミウオ。旧Twitterで見かけた頭骨標本が見事だったのを思い出しました。特に入れ歯作成技術は圧巻でした。


f:id:turtlep:20241003202919j:image魚のことはさっぱり分かりません。この魚がどちら様なのかも分かりませんが、良いフォルムでした。


f:id:turtlep:20241003203111j:imageどなたかは存じませんが、愛嬌がありました。


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f:id:turtlep:20241003203118j:imageコイ。熱烈でした。


f:id:turtlep:20241003203049j:imageきれいなウツボ


f:id:turtlep:20241003203000j:imageアオウミガメ。活発で美しい個体でした。


f:id:turtlep:20241003202952j:image水族館の後は松島を案内してもらいました。海鳥の骨を見かけました。


f:id:turtlep:20241003203221j:image露頭で珪化木を発見。松島の景色よりも、こちらに興奮してしまいました。


f:id:turtlep:20241003202945j:image仙台2日目は、東北大学の博物館へお邪魔しました。化石の展示内容が特に優れています。板皮類の実物化石を見られるとは思いませんでした。


f:id:turtlep:20241003203102j:imageライオンの全身骨格です。なんと、アフリカの野生個体だそうです。ライオン自体は時々みかけますが、野生個体は初めて見ました。とんでも無い代物です。


f:id:turtlep:20241003202913j:image広瀬川の露頭。ホタテの化石を探しに来ましたが、徒渉が必要な産地でした。濡れると帰路で困るので渋々諦めました。でも、濡れてでも行くべきだったと後悔しています。


f:id:turtlep:20241003203207j:image仙台駅で、探していた作家さんの作品を偶然見つけました。期間限定の出品だそうです。お土産にマグカップを2つ手に入れて、ホクホクしながら帰路に就きました。

北海道②

残念なビーチコーミングを経て、今度は山に入ってアンモナイトを探します。北海道でアンモナイトを見つけるのは数年来の夢でしたが、知人の化石マニアの協力を得て実現しました。本当にありがとうございました。

 

北海道のアンモナイトは、ノジュールと呼ばれる球状の岩石中から産出する場合が多いです。したがってアンモナイト探しは、沢を遡行しながら、見つけたノジュールをハンマーで割る作業となります。

 

f:id:turtlep:20241003142607j:image中川の沢

初日は中川町の沢に入りました。ヒグマが出ると聞いたので、注意しながら進みます。


f:id:turtlep:20241003142554j:image足跡

早速、足跡を見つけてしまいました。爪までしっかり残っているので、今朝方のものですね。

 

f:id:turtlep:20241003142628j:imageユーパキディスカス

感動の人生初アンモナイトです。あまり程度は良くありませんが、大喜びで持って帰りました。


f:id:turtlep:20241003142623j:image骨の化石

海生爬虫類、カメ、恐竜のいずれかの骨です。40kgほどありましたが、気合いで担いで持って帰りました。


f:id:turtlep:20241003142613j:image成果

大きなユーパカディスカスがいくつか採れました。


f:id:turtlep:20241003142546j:imageキタキツネ

餌付けされているようです。可哀想に、もう長くはないでしょう。


f:id:turtlep:20241003142600j:imageヒグマ

中川エコミュージアムにヒグマの剥製がありました。


f:id:turtlep:20241003142619j:image足跡

古潭別の沢にて。ちょっと大きめ。


f:id:turtlep:20241003142642j:imageヒグマ

三笠市立博物館にあったヒグマ頭骨です。異様な大きさが目立ちました。麻布大のヒグマと同じくらい大きいです。

f:id:turtlep:20241003142610j:imageメヌイテス
同じく三笠市立博物館の標本です。実は3日目の沢でこの標本と同じメヌイテスを採集しました。クリーニングがうまくいけば、とんでもない標本となります。

 

5日間の北海道巡見を終えて、今度は地質学会に出席するため、山形へ向かいます。

北海道①

山形で開催される学会のついでに、北海道へ行ってきました。目的は、トドとアンモナイトです。

 

初日はトドの漂着死体を探して、古潭から石狩川まで歩きました。スマホのログによると40kmほど歩いたらしいです。しかし、それ以上に、旅の荷物が詰まった30kgのザックが辛かった。

大変な思いをして探したトドでしたが、見つかりませんでした。まあ、そう簡単には出会えませんよね。

 

f:id:turtlep:20240926143519j:image古潭の崖

景色のスケールが大きいです。地層からノジュールが顔を覗かせています。

 

f:id:turtlep:20240926144312j:imageメノウ

この辺りの海岸ではメノウが拾えます。これを目当てにビーチコーミングをする方も多いらしいです。

 

f:id:turtlep:20240926144209j:image大きめ

少し大きなメノウも落ちています。この浜では野鳥写真家のおじさんとお話ししました。アオバトという鳥を狙っているものの、猛禽が見え隠れするせいで、なかなか姿を現さないそうです。私も粘りましたが、終ぞ見ることは叶いませんでした。そして、トドの漂着について尋ねてみたものの、近年は見かけないねえ、とのことでした。

 

f:id:turtlep:20240926145108j:image砂浜

先ほどの礫浜を過ぎると、砂浜地帯が見えてきました。この浜では長い竿を持った釣り師2人組に話を伺いましたが、やはり海獣の漂着は見かけないそうです。

 

f:id:turtlep:20240926145831j:image古潭の風景

漁港を中心とした集落です。通りの奥の丘に立つ神社が印象的でした。


f:id:turtlep:20240926145654j:imageミウ

ミウがたくさんいました。北海道の海は豊かですね。


f:id:turtlep:20240926145811j:image望来付近

古潭から望来へ向かう道です。誰ともすれ違いませんでした。道中の魚屋さんでトドの話を聞きましたが、この辺りも漂着しないそうです。


f:id:turtlep:20240926145659j:imageエゾゼミ

高台から谷を降りた先の浜でエゾゼミを拾いました。


f:id:turtlep:20240926150358j:image石炭

石狩川が運んでくる石炭が見つかり始めました。ゴールが近いようです。

 

f:id:turtlep:20240926145823j:image石狩の浜

柔らかな砂浜に開けた眺望。素晴らしい場所ですが、ゴミの散乱が目に余りました。BBQのグリルごと放置して帰ったグループもあり、開いた口が塞がりません。

 

f:id:turtlep:20240926150537j:imageオオセグロカモメ

鳥には明るくないので、種類が分かりません。旅の初日でナマモノを拾うわけにはいかないので、置いて帰りました。もしもこれがトドだったならば、きっと旅も学会も全てキャンセルして解体したでしょう。


f:id:turtlep:20240926145748j:imageカピバラ

ビーチコーミングの終着点、番屋の湯では、中庭でカピバラが温泉に浸かっていました。広いスペースでのびのびと暮らしているそうです。

 

北海道の旅の初日はこれで終わりです。成果はありませんでしたが、たくさんの人と話せて楽しい道のりでした。

御所浦恐竜の島博物館

今回は化石メインです。

 

今年2024年3月にオープンした御所浦恐竜の島博物館へお邪魔してきました。

今回は特別に、館内の隅々まで学芸員の先生に案内していただきました。展示物の説明はもちろん、展示の工夫や思想も語って下さり、大変勉強になりました。改めてお礼申し上げます。

気に入った展示を2点紹介します。

 

f:id:turtlep:20240823142929j:imageプロテキサニテス・フカザワイ

一般に西南日本アンモナイトは保存状態が悪いのですが、この標本は状態抜群で見応えがあります。また、そもそもプロテキサニテスが御所浦の姫浦層群から産出するのも珍しいです。


f:id:turtlep:20240823142915j:imageミナミハンドウイルカ

頬骨弓こそ失われているものの、非常に綺麗に作られた骨格標本でした。

 

博物館を見学した後は、付設の化石発掘体験場で化石探しをしました。珍しい化石を見つけるとキラキラの化石カードをもらえるので、一生懸命探しました。そのため、写真はありません。

f:id:turtlep:20240826102939j:imageアニソセラス

懸命な発掘が実を結び、異常巻きアンモナイトのアニソセラスを見つけられました。かなりレアらしいです。

f:id:turtlep:20240826102936j:imageアニソセラスカード

念願のカードもいただきました。キラキラです。

 

午後は島内で巡見を行いました。なんと、午後も先生に化石産地を案内していただきました。

(御所浦島では許可なき発掘は固く禁じられており、化石及び岩石の採取には博物館の許可が必要です。また、御所浦島から産出した化石は御所浦恐竜の島博物館に帰属し、その商取引も禁じられております。ご注意下さい。)

 

f:id:turtlep:20240823142927j:imageオリゴプティクシス・ピラミダエフォルミス(江ノ口層)

河口域〜浅海に生息する巻貝の化石です。密集した産状が特徴的でした。ハンマーが写っていますが、露頭を叩いてはいません。スケールです。
f:id:turtlep:20240823142937j:imageゴドリセラス(樋の島層)

破片ですが、ゴドリセラスです。通常、天草のアンモナイトの保存はこのような状態です。博物館の標本がいかに素晴らしいかよく分かります。


f:id:turtlep:20240823142912j:imageプテロトリゴニア・オガワイ

荒口崎の化石散策ロードに落ちていました。プテロトリゴニアとしては単純な造形で可愛らしいです。

 

f:id:turtlep:20240826102949j:imageホネ

海岸には化石の他、現生のホネもたくさん落ちています。タヌキがメインで、他はイノシシが少し見つかりました。


f:id:turtlep:20240826102942j:imageタヌキではなくキツネ

本編と関係のない余談です。

業者から購入したタヌキの頭骨が粉々の状態で届いたので、接着剤で組み立て直しました。そして、その頭骨はタヌキではなくキツネでした。やれやれ。